転職時の社会保険切り替えの注意点|保険証・離職票・税金・年金

転職活動を実行し転職先を見つけることと一緒に、ご自身の福利厚生面である各種社会保険の切り替えも行うことが大切になってきます。

「健康保険」「雇用保険」「厚生年金」「介護保険」など、現在就業中の人は転職時に切り替え手続きが必要です。

この記事では、転職時に合わせて手続きする必要がある社会保険等の切り替え時の注意点について徹底的に解説していきます。

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退職が決まったらやるべきこと

現在就業中の人は、社会保険に加入しています。
社会保険料は、ご本人とその会社が所属している企業とで半分ずつ負担しています。

つまり、転職で就業先を退職することが決まった際、社会保険の切り替え手続きをしなければなりません。

また、社会保険の切り替え手続きは、次の転職先で就業がいつスタートするかによっても方法が異なってきます。大きく分けて、3パターンです。

  • 退職日と入社日の間に空白期間が無い場合
  • 内定先に厚生年金が無い場合
  • 退職日と入社日の間に空白期間がある場合

具体的に、転職時に気を付けるべき社会保険の手続きについて解説していきます。

退職日と入社日の間に空白期間が無い場合

既に転職先が決まっており、退職日と入社日の間に空白期間が無い場合は、原則転職先が社会保険に関する手続きを行ってくれます

自分自身でやらなくてはならないことはたった2つ

  1. 健康保険証を退職する企業に返却する
  2. 切り替え手続きに必要な書類を用意する

健康保険証を退職する企業に返却する

退職時には、現在就業中の社内規則の通り健康保険証を返却しましょう。
多くの企業では、人事や総務部門に返却をします。退職することが決まり次第、余裕を持って「どの部署に」「いつまでに」返却しなければならないかを確認しましょう。

自身の保険証だけでなく、ご家族を被扶養者・配偶者として登録していらっしゃる場合は、ご家族の保険証も返却の対象になります。

人事や総務部門に確認し、保険証を返却できる準備ができれば、あとは期日までに保険証を返却するだけです。

スムーズに退職できるように、期日を守りましょう。

切り替え手続きに必要な書類を用意する

社会保険の切り替えには、5つの書類が必要になります。
退職する会社から以下の5つの書類を必ず受け取りましょう。

  1. 健康保険資格喪失証明書
  2. 健康保険被扶養者異動届
  3. 雇用保険被保険者証
  4. 源泉徴収票
  5. 年金手帳

退職する会社からもらったこれらの書類は、次の転職先(内定先)へ提出する必要があります。
念の為、転職先の会社へ「必要な書類の種類枚数」を確認し、提出できる準備をしておきましょう。

内定先に厚生年金が無い場合

内定先に厚生年金が無い場合は、手続きをする必要があります。
退職日と入社日の間に空白の期間が無くても、手続きは必ず必要です。

厚生年金から国民年金へ、切り替えなくてはなりません。

国民年金への手続きは、退職日から14日以内に実施が必要。
市区町村の役所へ行き、退職時に受け取った年金手帳印鑑2点を持参し手続きを行いましょう。

退職日と入社日の間に空白期間がある場合

「退職日と入社日の間に空白期間がある」場合、ご自身で手続きが必要です。

1番注意すべきことは、「健康保険に入っていない期間が発生してしまわないようにする」こと。

ご自身もしくはご家族が予期せぬ病気や怪我になった時、健康保険にはいっていない期間が発生してしまうと、医者にかかった際の医療費が全額自己負担となってしまいます。

具体的にどのような手続きをするべきなのか、解説していきます。

【重要】ご自身で手続きをしなければならない

以下どちらの場合も、ご自身で社会保険の切り替え手続きを行う必要があります。

  • 転職先がまだ決定していないが退職が決まった場合
  • 内定先への入社日が退職日からしばらく期間が空いてしまう場合

年金の手続き

まずは国民年金への手続きが必要です。退職日から14日以内に実施しなければなりません。市区町村の役所へ行って、退職時に受け取った年金手帳印鑑2点を持って行き、手続きを行いましょう。

【参考】 日本年金機構|転職・退職したときの手続き

健康保険の手続き

健康保険に加入していない期間が生じている間に、万が一事故や病気にあった場合、医療費を全額自己負担しなければならないため、注意が必要です。

このような場合、国民健康保険に加入することで、被保険者資格を得ることができます。

国民健康保険は企業で健康保険にはいっていない方を対象としています。
特に、特別な入会資格はありません。こちらも退職日から14日以内に市区町村の役所へ行き、手続きを行いましょう。

もしもの時に備え速やかに手続きを行うことをオススメします。

健康保険|任意継続保険に入るときは

もうひとつの方法として、現在就業している会社で任意継続の手続きをとる方法があります。
任意継続とは、「退職後もそのまま加入していた健康保険を継続すること」。

資格を喪失する日の前日までに、

  • 2ヶ月以上継続して被保険者としての期間があること
  • 資格喪失日から被保険者になるために20日以内に届け出を行うこと

被扶養者が多い場合、国民健康保険に入るときよりも任意継続をした方が経済的な負担が軽くなる可能性もあります。

退職時に、現在就業している人事・総務部門に任意継続した場合の保険料を確認してみましょう。
国民健康保険に切り替えた場合の保険料と比較して、安い方で手続きを進めましょう。

また、以下3つの注意点も把握し考慮して判断しておくと良いです。

  • 最長で2年間しか継続が出来ない
  • 在職中に会社が支払ってくれていた保険料半分がなくなるので保険料が倍になる
  • 任意継続に入ると2年間は、国民健康保険への切り替え / パートナーの扶養に入ることが出来ない

健康保険証切り替え時期に医者にかかるときは

転職を決意し辞める事が決まっている中で、思わぬ病気やケガになってしまうこともあります。ご自身・配偶者・ご家族の場合も考慮し、対処法について解説します。

退職予定日まで通院が続く場合の対処法

退職日当日まで現在入っている保険証は有効です。
退職予定日にも保険証を使用する際は、返却に関しても会社の担当部門へ予め事情を説明し指示の通り返却を進めましょう。

ただし、退職日の翌日からは保険証は失効しています
保証期間自体は変わらないので、注意しましょう。

新しい就業先で保険証が発行される間に通院するときの対処法

新しい勤め先に入社し、各種社会保険の手続きの申請すると、お手元に保険証が配布されるまで2週間ほど期間がかかる場合があります。

もし、その間にも通院が続く場合は、一時的に医療機関の精算窓口で自己負担が発生します。

「自己負担の払い戻し」は、後日保険証が届き次第、会社の担当部門に相談を。払い戻し方法について指示があるので従いましょう。会社経由もしくは直接健康保険組合の窓口へ連絡し、返金してもらう手続きになるため、実施して下さい。

また、全額自己負担を避けることができる申請方法として、健康保険被保険者資格証明書を就業先の人事・総務担当部門から受け取り、医療機関の精算窓口に提出することも可能です。

この証明書には保険証記号保険証番号が記載されています。
保険証を受け取る間、保険証の代わりに使用することが可能です。

転職の際、環境の変化に伴い出費がかさむこともあります。
そのため、高額な医療費が発生する際には、健康保険被保険者資格証明書を効果的に利用することも有効な方法なので活用しましょう。

失業保険の手続き

就業中に転職先が見つからず、退職後も引き続き転職活動を続ける場合には、失業保険の給付を申請しましょう。

失業保険の給付資格対象者には、以下3点全て該当する必要があります。

  1. 在職中に雇用保険に入っていた
  2. 被保険者である時期が12ヵ月以上ある
  3. 就業できる能力を持ち、再就職の活動を行っても仕事に就けない失業の状態である

生活のために、無理をしてご自身の希望に沿わない条件で転職活動を急ぐよりも、失業保険を給付してもらいながら、良い条件で就職先を探すほうが絶対に良いです。

失業保険は、在職していた時の給料の50~80%(60歳~64歳については45~80%)。給付期間は、離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日)とされています。

給付金額や給付期間は、退職した理由やご自身の年齢・雇用保険に入っていた期間によって異なります。失業保険の手続きはご自身の住民票が登録してある地域の管轄下のハローワークで行います。

参考 ハローワークインターネットサービス|基本手当について

退職金で必要となる手続き

会社を退職した際、退職金をもらえる場合があります。

離職期間中、その退職金で生計を立てたり、転職活動費にあてたりしたいと思う人もいると思います。しかし、退職金を受け取れるかどうかは、現在就業中(退職する)会社によって有無は異なります。

もし退職金があり受け取る場合、退職金には退職所得として所得税と住民税の税金がかかってしまいます。つまり、手取りで受け取る金額も少なくなってしまうのです。

退職金の所得控除の手続きはしっかりとやっておきましょう。

離職後、年収が半額以下になったりもっと少なくなる場合もあるでしょう。その際には、控除対象になり得る可能性があるので、役所に確認をしましょう。

所得税の控除

所得税を控除したい場合、退職者本人から退職所得申告書という書類を提出する必要があります。

この書類を提出しなかった場合、退職金のおよそ2割が源泉徴収されてしまいます。提出を忘れてしまった場合に、この控除分の金額を取り戻したい場合、確定申告が必要です。

つまり、「退職所得申告書」を提出していれば、確定申告は不要です。

所得税を控除した場合、計算方法が変わり徴収される額も大きく免除されます。退職金は給与と違って一度のみ高額な収入を得ることになります。退職金は年収に含まれないため、計算方法を変えなければ所得税も高くなってしまうのです。

401K(確定拠出年金)について

現在多くの企業では、退職金ではなく401K(確定拠出年金)を導入しているケースも増えました。
401Kは60歳以上でないと受け取れないため、退職時の年齢が60歳以上でないと現金化できません。

また、退職にあわせて401Kの変更手続きが必要です。
手続き方法についても、退職する会社の人事・総務部門に確認しましょう。

転職先が401Kを導入していれば移行手続き、導入していない場合は、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)に移行する流れになるはずです。

住民税の控除

住民税は退職月の翌月10日までに納付しなければなりません。
また、住民税も控除が可能です。

所得税と同じ方法で計算して得た課税退職所得金額10%をかけて算出したのが住民税の金額です。

つまり、退職金の金額から所得税の控除額を引いて、さらに半分に割ったのが課税退職所得金額です。この課税所得金額に10%をかけます。この10%は一律で、変動することはありません。

住民税の処理は、退職者本人が3つの選択肢から選ぶことが可能です。「普通徴収」「退職時で一括徴収」「転職先で特別徴収を続けてもらう」という方法です。

普通徴収に切り替える場合、住民税の控除はありません。
退職時に一括徴収する場合、退職してから次の年5月までの残額が控除されます。
転職先で特別徴収の継続を選択した場合、控除は転職先の会社で行われることになるのです。

転職先での特別徴収継続を選択する場合、元々の勤務先の会社が転職先の会社に必要事項を記入した書類を送付してもらう必要があります。退職者本人が直接、転職先の会社に持ってくることも可能です。

解雇予告手当も同じ

企業側は、従業員を解雇する場合その解雇日から30日前までに解雇することを伝えなければなりません。しかし、30日前に伝えられない場合、解雇予告手当というものを支払う決まりとなっています。

この解雇予告手当には、所得税と住民税がかかってしまうのです。
この場合も退職金と同様の手続きをすることで、税金を控除することができます。

まとめ

退職に伴う社会保険の切り替え方法等について解説しました。

転職活動が始めての人にとって、慣れない作業や手続きが多く大変かと思います。
しかし、後悔しないために、事前に仕組みを理解しておけば大丈夫です。

また、わからないことは役所や人事・総務部門の担当者へ確認して問題ありません。
綺麗に手続きや解決をして、新しい環境へ進むために忘れずに進めましょう。

あなたにとって、良い方向へ仕事のチャンスが拡がりますように!